すべての武道は、いずれも厳しい自己修練を課し、その奥義を極めることによって自己の人格形成、すなわち人間としての正しい道を極めることを目指すのものです。
極真空手は、この武道本来の意味を全うすることを本義に置いています。
また、直接打撃制、無差別による実践的空手を通し、相手の痛みを知ることによって、人間本来のやさしさを知るという理念も、極真の信ずる道です。
極真とは、「千日をもって初心とし、万日をもって極みとする」
という武道の格言から発した名称です。完成はないといわれるほどの、厳しく険しい武道の真髄を極める意です。
極真会館に伝統的に受け継がれている精神である、
「頭は低く目は高く、口慎んで心広く、孝を原点として他を益す」
とは、創始者である故大山倍達自身が、長年厳しい修行人生の中で確立した極真精神です。
また一方では、極真の挨拶「押忍」の精神には、尊敬、感謝、忍耐という精神があります。
心身を錬磨すると同時に、伝統や礼節を重んじる極真会館での修業が、実生活に活かされると信じます.
今や伝説的存在となった地上最強の武道家、大山倍達。
若き日より拳法を学び、1947年、戦後初の全日本空手道選手権大会で優勝して以来、自らの精神と肉体を極限までに追いつめる修業の日々が続く。
山籠りや闘牛との対決、アメリカをはじめ世界各地での武者修行など、数々の逸話は有名。1964年それまでの空手界の常識であった「寸止めルール」に対して、本当の強さを求める「直接打撃制ルール」を掲げ、国際空手道連盟・極真会館を設立。
世界120ヵ国、1200万人の門弟の総裁としての、その生涯を極真空手に捧げた。1994年、逝去。
享年70歳。
大山総裁に憧れ中学時代に極真会館入門。恵まれた素質と不断の努力により、たちまち頭角を現す。若干17歳で全日本大会で堂々4位入賞し、非凡さを世に知らしめた。第17回、18回、全日本大会優勝。翌年の第4回世界大会をも制すという偉業を成し遂げ、その俊敏にして華麗な組み手は空手界の貴公子と呼ばれ、多くのファンを魅了した。また、極真界きっての荒行、百人組手を達成し、いよいよ真の武道家としての基礎を確立。その後、後進の指導にあたりつつ、大山総裁の哲学を学んだ。大山総裁の死去に伴い、その遺志を継ぎ、国際空手道連盟・極真会館の館長に就任。
現在、世界の極真組織の運営と益々の極真空手の発展を目指し、東奔西走の日々を送る。
一、 | 吾々は心身を錬磨し確固不抜の心技を極めること |
私たちが空手を修業する目的は、自分自身の体と心を鍛えることにあり、真剣に稽古に打ち込むことで、どんなことにも動じない心と強い意志を習得していかなければならない。 | |
一、 | 吾々は武の神髄を極め機に発し感に敏なること |
私たちは武道としての空手の道を徹底的に追及していくことで、どんな状況でも臨機応変に対応する力と、相手の心を理解する思いやりや優しさ、どんなことにも素直に感動できる心を身につけなければならない。 | |
一、 | 吾々は質実剛健を以て克己の精神を涵養すること |
私たちは自分を飾ることなく、真面目で素直に空手の修業に打ち込むことによって、自分自身に打ち勝つ強い心を養っていくことを心がけなければならない。 | |
一、 | 吾々は礼節を重んじ長上を敬し粗暴の振舞いを慎むこと |
私たちは礼儀をみにつけ、目上の人を敬い、人前で空手の力を誇示するような行動をとってはならない | |
一、 | 吾々は神仏を尊び謙譲の美徳を忘れざること |
私たちは人間の力が及ばない自然や宇宙の摂理を重んじ、神や仏を敬い、相手のことを大切にし、自分を謙遜する態度を忘れてはならない | |
一、 | 吾々は智性と体力とを向上させ事に臨んで過たざること |
私たちは空手の修業によって知性と体力を向上させ、どんな状況でもあせらず、冷静に対処できるようにならなければならない | |
一、 | 吾々は生涯の修業を空手の道に通じ、極真の道を全うすること |
武道としての空手の修業は一生かけて追い求めるものであり、一生を通じて極意に一歩でも近づこうという姿勢、それが極真空手の本義である |
一、 | 武の道は礼に始まり礼に終わる。よって常に礼を正しくすべし。 |
二、 | 武の道の探求は断崖をよじ登るがごとし。休むことなく精進すべし。 |
三、 | 武の道においてはすべてに先手あり。しかれども私闘なし。 |
四、 | 武の道においても金銭は貴いものなり。しかれども執着すべからず。 |
五、 | 武の道は姿なり。何事においても常に姿を正しくすべし。 |
六、 | 武の道においては千日を初心とし万日の稽古をもって極とす。 |
七、 | 武の道における自己反省は常に練達への機会なり |
八、 | 武の道は宇のためにあるものなり。修練にて私心を忘れるべし。 |
九、 | 武の道においては点を起とし、円を終とす。線はこれに付随するものなり。 |
十、 | 武の道において真の極意は体験にあり、よって体験を恐るべからず。 |
十一、 | 武の道において信頼と感謝は常に豊かなる収穫を得ることを忘るべからず。 |